パロディ満載のコメディ映画「ファンボーイズ」のレビュー。
子供の頃にスターウォーズに思いっきりはまって、いい大人になった今でも大好き。そんな4人の年齢不詳のファンボーイズ(+女が1人)が主人公だ。
時期はエピソードⅠの公開半年前。小出しにされる情報でSWファンの連中が最高潮に盛り上がっていた頃。ただ、このいい歳こいたオタク共4人のうちの一人、ライナスは末期ガンで、EPⅠの公開まで生きられない。そこで4人は
スカイウォーカーランチまでEPⅠのラフ編集版を盗みに行く事を決意する。
道中に待ちかまえる
トレッキーやカジノや車のパンク、そして難攻不落の(という程でもない)スカイウォーカーランチ。様々な障害を乗り越えて彼らはEPⅠを見ることができるのか!?
というロードムービー。
星空に文字が流れるお馴染みのタイトルバックから始まって、往年のSW役者、カルリシアン男爵とかレイア姫とかダース・モール(しかもみんなSWでの自分の演技のセルフパロディをやる)とかカーク船長がゲストで出てきたり、「スターウォーズにインディ・ジョーンズ!ハリソン・フォードは神だ!主演作にハズレがねえ!」とか言ってる横に「6デイズ/7ナイツ」の看板がでっかく出てたり、スカイウォーカーランチの警備員がTHX-1138だったり、「悪い予感がする」って台詞が入ったり、フォース使ってみたり(当然失敗する)、まあそんな感じのしょうもない話なのだが、最後の焚火のシーン、どこかEP6のラストを彷彿とさせるあのシーンは、それまでが馬鹿話の連続だっただけにジーンと来る良いシーンだ。
EPⅠ自体は、まあ、賛否両論の映画だったんだけど(ポン引きの背中の刺青やエリックの最後の台詞で、その辺までギャグにしてる)、たぶん彼らにとっては、とても良い映画だったんじゃなかろうか。物語の面白さなんて、物語の外側でその時受け手に起きていた出来事の方により大きく依存する事が多いのだ。映画を映画館で観るのは家で見るより三割増しで面白いし、友達や恋人と見れば更に倍だ。見るまでに紆余曲折や苦労の一つもあれば、それはきっと名作になる。
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この映画に出てるオタク達のような、何か1つの作品が凄い好き、ってタイプには憧れる。僕もオタクかそうじゃないかっていったら確実にオタクだし、ガンダム大好きでMSの名前全部覚えてたり(平成ガンダム以前の物に限る)するんだけど、名台詞や名シーンを確実に覚えているほどじゃない。たぶんこの映画の劇中でやったみたいにクイズ出されたら絶対答えらんない。「ミハルのラストネームは何でしょう?」とか。
そりゃガンダムも好きだけど俺はスターウォーズも好きだしジョージ・A・ロメロも諸星大二郎も清水マリコも好きだし、その中でガンダムが必ずしも一番かっつうとそんなことはなくて、ガンダム好きでもゲーム全部やったわけじゃないとか、ジョージロメロ好きでもゾンビ物以外は見てないとか、どれに対してもそこまで情熱的ではないのだ。オマケにアナログゲームやコンピューターゲームも中途半端に囓っている。何オタクなのかわからない。しいて言うならどのジャンルもゾンビ物が好きだけど、これは僕の中でここ数年ゾンビブームなだけである。
この映画の連中もスターウォーズ以外を見てる気配はあるし、ゲームもやってそうなんだけど、間違いなく彼らの聖堂の祭壇には常にダースベーダーのマスクが鎮座している。その一本筋が通ってる感じがオタクとして憧れる。
等という風に、オタクがウザい自分語りをしたくなる良いオタク映画であった。作った人たちもきっとオタクであったのだろう。オタクが作ってオタクが見る。ウロボロスにも似た美しい形。

ジャケットは「40歳の童貞男」のパロディ。あれもこういう類の人間を扱った映画であった。
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